むし歯が進行してしまって、「神経を取って治療をする」という話を聞いたことがある方がいらっしゃると思います。
でも、「歯に神経なんてあるの?」と疑問に思った方もいらっしゃるのでは?
背骨の内部に脊髄があるように、歯の中心部にも歯髄(しずい)と呼ばれる細かい血管や神経が入り込んでいる場所があります。
歯科医師が、一般的に「神経を抜く」と説明するときは、この中心部の歯髄を取り除くことを分かりやすくお話しするためにそのような表現を使うことが多いのです。
具体的には、歯の外側から穴を開け、細い針金のような道具を歯の中に差し込み、内部の組織を取り除きます。
神経を取ると表現するくらいですから、処置を行うことで歯の知覚がまったく無くなり、むし歯で痛くなることもなければ、冷たい水がしみることもなくなります。
ですから、むし歯が相当に進行し、歯髄にまで感染している場合には、やむを得ず神経の処置をしてから、治療を進める場合があります。
もしかすると、神経を取ることにメリットがあるのでは?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんね。
でも、実際には、メリットよりもデメリットが大きいです。
神経を取る治療は、技術的にも簡単なことではありません。
根の形には複雑なものも多いので、長期にわたって根の治療を行う必要があることもしばしばですから、治療期間が長くなります。
また、神経を取るとその周辺の組織まで一緒に取ることになってしまうので、歯の根の部分がもろくなり、根から歯が割れてしまうリスクが高くなります。
また、神経を取った歯は、白ではなく褐色が目立つようになる場合があり、前歯の場合には特にその色が気になることでしょう。
このように神経を処置することはデメリットが大きいですから、むし歯がひどく進行してしまわないうちに受診してください!